日本史オンライン講義録

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044 承久の乱

目次

 

いままで幕府のことを説明をするときに、朝廷がこの国の治安を守るために一時的に幕府っていう臨時政府を作らせて、幕府が朝廷と協力しあいながら治安を守るっていうお話をしました。しかし、実際のところは幕府が出来てしまったら、「朝廷よりも幕府の方が偉いんだ!」といったように、幕府がだんだん朝廷よりも威張ってくるようになってくるわけです。これに対し、天皇方(朝廷方)はそんな幕府の振る舞いを当然面白く思わないですよね。ということで、今回は朝廷方が幕府に対して反乱を起こした承久の乱について見ていきましょう。

 

幕府が徐々に朝廷をないがしろにして、自分たちが権力者にように振る舞っていく状況に対して不満を持っていたのが後鳥羽上皇でした。そこで後鳥羽上皇は、西面の武士を設置します。何のために設置したのかというと、幕府との対決姿勢を上皇自身で養って、力を蓄えておくためです。

○○の武士シリーズ

 さて、こうした幕府への対決姿勢を強めた後鳥羽上皇ですが、将軍がいかにも無力で、かつ御家人同士が争っているのをみて、「これはチャンスだ!」と捉えて挙兵します。そして、承久の乱に突入していくのです。

北条義時の時代

将軍・源実朝に仕えていた北条義時ですが、今回はというと晴れて将軍を越える権力をもつようになった執権2代目としての北条義時の時代です。

承久の乱

そんな北条義時が直面した事件こそが承久の乱です。後鳥羽上皇の挙兵に対し、北条義時は自分が直接戦地へ赴くのではなく、子・泰時あるいは弟・時房に兵を率いさせ、乱を鎮圧することに成功しました。ちなみに、泰時と時房の関係は、おい・おじの関係ですよ。

さて、こうして幕府に対し挙兵した後鳥羽上皇を見事に鎮圧した義時は、「我々に逆らうとこうなるぞ!」と言いながら、後鳥羽上皇隠岐土御門上皇を土佐に順徳上皇佐渡、それぞれ流します。土御門の土・土佐の土、なので土つながりで覚えやすいのではあるのですが、土御門はあまり試験には出てきません。ここはやっぱり後鳥羽が流された地をしっかりと覚えておきましょう。それにしても上皇だらけですね…。まぁ、それもそのはず、後鳥羽上皇の権力固めの常套手段であるので当たり前なのですが。疑問に思う人もいるかと思うので一応念のため、この時の天皇は誰かというと仲恭天皇です。しかし、仲恭天皇は廃位されます。

京都守護から六波羅探題

このように、後鳥羽上皇が挙兵するも幕府が鎮圧したわけですが、こうしたことが二度と起こらないようにということで、幕府が以前置いていた京都守護を六波羅探題とします。六波羅探題は、単に名前を変えただけではなく、権限も非常に強化されるのです。どんな強化がされたのかというと、このような忌まわしい乱が再び起こらないようにするため、

  • 朝廷の監視
  • 京都の治安維持
  • 西国の統轄

といったように、今までの京都守護の強化パワーアップ版として化すのでした。

新補地頭

こうして幕府は承久の乱に勝利して、朝廷方をやっつけました。すると、後鳥羽上皇に味方した貴族・味方した武士、こういった人々の土地を没収することができるのです。そうしてゲットした土地に配置された地頭のことを新補地頭といいます。つまり、地頭は地頭でも、承久の乱後に置かれた地頭として区別します。では、いままでの地頭はどう呼ぶの?ってなりますよね。はい、承久の乱以前の地頭のことを本補地頭っていいます。

それでは、この新補地頭について少し詳しくみていくことにしましょう。それまでの本補地頭は、「この土地の治安はオレが守ってやるから、悪さをするヤツはこのオレがやっつけてやるから、そのかわり1段あたり5升の兵糧米をいただくぞ!」って感じで、いわゆるコメをゲットしていましたね。しかし、今度の地頭は、朝廷に勝利したということもあって、ちょっと強気になって、これまでのコメに加えて+アルファの取り分をゲットしていきます。それは、

  • 田畑11町ごとに1町の土地給田
  • 1段あたり5升の加徴米(兵糧米に加えて追加で徴収)

つまり、この土地の治安を守ってやるから、まずは土地をよこしなさい。そしてこの土地から1段あたり5升のコメをよこしなさい。と強く出ていくようになるわけです。

以上、今回はここまでです。