日本史オンライン講義録

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087 貨幣と金融

今回はお金の話をしていきたいと思います。みなさん、江戸時代のお金といえば小判や穴の空いたいわゆる「銭」を思い浮かべると思います。時代劇にもよく登場する小道具でもありますが、ぜひ手元の資料集などで写真を見ながら進めて行ってほしいと思います。

貨幣

まずは貨幣です。この江戸時代の貨幣の規格というかシステムはというと、家康が金座や銀座に作らせた慶長金銀からスタートします。これが後々にまで基準となるわけですね。さきほど話をしたように、金座や銀座で大量に鋳造されました。

金座

まず金座なのですが、作られた金貨は後藤家(後藤庄三郎光次)が品質管理をしています。そして、金貨は計数貨幣といいまして、一枚二枚といったように「枚数」を数えて使います。金貨の数え方として有名な単位は1両、2両といいます。1両というのは小判1枚のことですよね。そして、それより小さい単位もあります。四角くて小さい金貨でこの数え方を分(ぶ)、さらに小さい金貨のことを朱(しゅ)といいます。まぁテストには出ないかもしれませんが、豆知識として知っておいてほしいのが、小判1両は4分、そして16朱ということになって、4分の1→4分の1といったように四進法で換算していきます(1両=4分=16朱)。世界を見てみると、アメリカなんかは1ドルの4分の1をクォーターといって4枚で1ドルといったカウントの仕方をします。

 

銀座

銀座で作られるのはもちろん銀貨ですね。銀貨は計数貨幣ではなくって、重さをはかって使う秤量貨幣(しょうりょうかへい)なのです。たとえば銀貨には、丁銀(ちょうぎん)豆板銀(まめいたぎん)などがあるのですが、これらの単位は主に匁(もんめ)です。丁銀をよく見てみると、金貨と違っていい加減な形をしていますね。銀貨は枚数ではなく重さを測って交換をする貨幣なので、たとえば1両と交換するときに必要な銀50匁に足りなければ、事前に銀を溶かしてプチュっと合体させて叩いて重さを50匁にするといった使い方をしていました。ですので、形が少しイビツになっているのですね。それでも50匁に足りないっていう場合は、豆板銀のような補助貨幣を図りに乗せて金1両と交換する方法も取られていました。秤に乗せて重さを量って使用する貨幣ということで、秤量貨幣といいます。のちに江戸時代後期になってくると、それならば予め銀を切っておいてそれを使えばいいじゃないかということで二朱銀(にしゅぎん)なども登場しました。

 

銭座

さて、最後に銭座で鋳造されるのが銅銭です。江戸時代にみられる代表的な銭といえば、寛永通宝(かんえいつうほう)ですね。これを見ている皆さんの中で江戸時代から続く古民家に住まれている人は、家の中の倉庫を探してみるともしかすると寛永通宝が見つかるかもしれません。それほど一般的な貨幣だということです。銭のカウントの仕方は、貫(かん)・文(もん)などがあります。1貫=1000文ですね。

 

となると、金・銀・銭の交換レートが気になりますよね。その交換レートっていうのは、時期によって変動するんです。金銀はだんだん取れなくなっていくので。たとえば金1両=銀60匁=銭4貫(4000枚)です。次に気になるのは、この金1両っていうのは今でいうとどれくらいなのかってことなのですが、金1両は今でいうとだいたい10万円くらいです。よく時代劇で出てくる千両箱っていうのは、10万円✕1000枚ですから1億円が入っていることになりますね。あるいは、金1両が銭4000文(4貫)ですので、1文あたり25円くらいの価値だということがいえますね。当時お蕎麦が1杯16文したそうですので、今の金額でいうと400円。まぁ丸亀製麺でお昼を食べるとなるとそれくらいはしますので、まぁ妥当な線をいっているのではないでしょうか。

 

金貨・銀貨・銭貨の3つを「三貨」といい、さきほどのような交換レートもあったりして全国に行き渡りました。特徴的なのは東日本では主に金貨で決済されました(金遣い)。それに対して西日本では主に銀貨で決済されました(銀遣い)。

 

藩札

ところが、江戸時代もだんだん時代を経ていくと、金銀の鉱山が涸れてきてしまいます。そこで、かわりに紙幣が用いられるようになりました。たとえば、各藩が幕府に認められた上で発行された藩内でのみ利用が可能な藩札が流通しました。

 

両替商

そして、金・銀・銭を両替してくれる両替商ですね。とくに、両替商の中でも本両替といわれる有力な両替商では、幕府や藩からお金を預かってそれを管理したり、あるいは遠隔地の取引に使われた為替の取扱や、貸付などを行うことによって莫大な利益を得ていくようになったのでした。

 

今回は、江戸時代のお金のあらましについて話をしました。今回は以上です。