日本史オンライン講義録

受験勉強はもちろん、日々の学習にも役立つ日本史のオンライン講義です。 

148 第二次世界大戦前の世界情勢

今回から,太平洋戦争はさんで戦中戦後の話をしたいと思います。「戦争」を扱うのでまずは,この戦争に先立ちまして日本をとりまく国際情勢を見ていきたいと思います。年代でいうとだいたい1930年代あたりです。

 

1919年に第一次世界対戦が終わります,一方で,1939年 第二次世界対戦が始まるわけですね。そうすると世界は1919年からしばらくは平和に向かっていったのですが,「あるところ」を境にして世界は戦争へと向かって行きます。その「あるところ」っていうのが1929年の世界恐慌です。とすると,世界恐慌後の1930年代っていうのは世界が戦争へと向かっていく時代になるのですね。この時代,何が起こっていたのかというと世界は3つのグループに分かれていきました。

 

連合国陣営

1つめは連合国陣営です。主な国としてはアメリです。世界恐慌を引き起こした張本人なのですが,その中で登場したのがフランクリン=ルーズヴェルト大統領ニューディール政策で生産を絞り,そして公共事業を興すことによって経済危機から脱出します。そしてイギリスフランスですね。これらの国は豊富な植民地を持っていますので,本国と植民地によるブロック経済圏を形成し,保護貿易政策を推進します。例えば,イギリスの植民地である南アフリカ,インド,カナダ,オーストラリア,ニュージーランド,香港などを一つの経済圏としてひとくくりにして,原材料を生産させて輸入をし,自国で商品を生産し植民地に売りつけるってことで自給自足的になっていきました。つまり,この経済圏を雨戸として例えるなら,イギリスは植民とともに雨戸を固く閉ざして,雨戸の外の暴風雨をシャットアウトすることによって世界恐慌の影響を少なくしようとしたのでした。具体的には,雨戸の外から入ってくる商品には高い関税をかけるなどして,雨戸の中に入ってこないように保護をしたのでした。さて,このようにアメリカやフランスやイギリスはどういった特徴があるかというと,第一次大戦戦勝国でありますから,国としての体力も余裕があったから世界恐慌の影響が少なくて済んだのでした。

 

社会主義陣営

2つめは社会主義陣営です。主な国はソ連です。このソ連は,スターリンという人物が国のお金を国がコントロールしていたこともあり,恐慌の影響を受けなかったわけですね 。そして,アメリカがソ連を承認したことにより国際連盟に加入をしていくということになります。このあたりから,ソ連アメリカがちょっとずつ歩み寄ってドイツと戦うために備えます。

 

枢軸国陣営

3つめは枢軸国陣営です。主な国は第一次世界大戦敗戦国のドイツ。そして戦勝国ではあるが,豊富な地下資源や豊富な植民地を持たなかったイタリアや日本ですね。世界恐慌の影響をもろに食らってしまい,打開の糸口を探りながら第一次大戦へと向かっていくことになります。

 

ではまずそのドイツ・イタリア・日本についてのお話をしたいと思います。ドイツに登場したのがあのナチ党ナチスドイツ)を率いてファシズムを展開したヒトラーですね。ファシズムとは,この苦しい状況を打開するために国民を国に従属させる国造りをすることです。そして,ドイツは戦争にまけたのでヴェルサイユ条約によって厳しい賠償金と軍備縮小させられたのですが(ヴェルサイユ体制),それらを破って再軍備をしようとします。そして,国際連盟も脱退していきます。

 

次はイタリアです。イタリアは第一次大戦戦勝国であったんですが,いかんせん植民地があまりなく国としての体力もあまりありません。そこで,ムッソリーニファシスト党一党独裁体制を作ります。具体的にはエチオピアを植民地にしようと戦争を仕掛けていくわけですが,こうした一連の流れによりイタリアも国際連盟を脱退していくということになります。

 

このドイツのヒトラーとイタリアのムッソリーニといった最も危険な奴らを結びつけたのがスペイン内戦です。このスペイン内戦によって,ドイツ・イタリアが接近し,ベルリン・ローマ枢軸を築きます。そこに,もう一つ加わっていくのがあ日本ですね。日本は,満州事変から満州国を成立をさせました。事実上中国東北部を植民地化したのですが,これが日本の自作自演であるによって巻き起こされたことから(柳条湖事件),国連はリットン調査団を派遣して調査をしたところ「これって日本の自作自演で日本の方が悪いんじゃないの?」って結論付けられたので,日本は怒って国際連盟を脱退するわけです。このように1933年にドイツと日本が,1937年にイタリアがほぼ同時多発的に国際連盟を脱退してしまうことになります。

 

こうして三国が接近して,日本とロシアが日独防共協定を締結します。そして,ここにイタリアが加わって日独伊防共協定として発展していくことになります。これがいわゆる枢軸国陣営(三国枢軸)の形成です。

 

まとめ

1930年以来,3つのグループに分かれました。一つは連合国陣営(自由主義国家)です。アメリカ・イギリス・フランスです。そして,社会主義陣営社会主義という今までとは違ったコンセプトを持つソ連です。そして,枢軸国です。世界恐慌の影響をモロかぶりする状態となってしまい,国としての体力もないのでこれから世界にうってでるんだといったドイツ・イタリア・日本です。で,このドイツ・イタリア・日本が組んだ理由はというと,日独防共協定,日独伊防共協定でした。共っていうのは共産党のことで,ソ連を仮想敵国としてファシズムを展開していきました,ファシズムってのは国民を国に従属させるとするものですが,社会主義ってのは人々の平等のために国があるべきだとするものなので,方向性が全く違うんですよね。ファシズムの国々が,社会主義なんかを認めてしまえば社会主義革命が起こりかねない,だからソ連をつぶしたいと考えるわけです。ただ,社会主義っていうのは建前としては平等ですが,富裕層からお金を奪って貧困層に配給するっていうことをするには,国としての強い力が必要ですよね。なので,実際のみためとしては国が国民をコントロールしているのであんまり変わらないんすけどね。だから,社会主義の国にはスターリンとか毛沢東とか強い独裁者が現れていくのです。では次回は,日本の歴史にもどって日本がどんどん戦争に突っ込んでいく様子をみていくことにしましょう。