169 明治の文化③科学の発達
今回は,科学です。科学の中でも文系の科学つまり社会科学についてみていきましょう。
明治時代の前半では,まずは留学や欧米から多くの学者を招いて学ぶことが一般的でした。そして,明治時代中期から後期に入ってくると,徐々に日本人自らの手で各分野に渡って専門教育や研究が行われていったという流れですね。こういうことは日本人の十八番ですよね。まずは外国から電化製品であったり機械であったりを導入して,それをブラッシュアップして再び海外に売り出すっていうことは。まず学び,学んだことを吸収して優れたものを作り出すっていいですよね。
お雇い外国人
では,外国から招いた学者(お雇い外国人)のことを紹介していきます。だいたい明治初期から20年代を中心に日本に招かれたお雇い外国人ですが,一人ずつみていきましょう
法学
教育
クラーク(米)・・・札幌農学校
宗教
ジェーンズ・・・熊本洋学校
フルベッキ(米)・・・語学
自然科学
モース(米)・・・動物学・考古学(大森貝塚)
ナウマン(独)・・・地質学
ミルン(英)・・・地震学
医学
ベルツ(独)・・・温泉の効用
哲学
美術
ラグーザー(伊)・・・彫刻
フォンタネージ(伊)・・・西洋画法の教授
キヨソネ(伊)・・・銅版画
人文・社会科学
経済学
まずは経済学からみていきましょうか。最初,主流はイギリスの自由主義経済学でした。市場にまかせていたら神のみえざる手が働いて落ち着きうところに落ちついていくんだっていう考え方ですね。それが徐々に,遅れて競争に参入してきた国は安い商品を関税でブロックしながら自国の利益をあげていくといったドイツの保護貿易論へと転換していきます。
法学
ボアソナードによる民法が導入されたのですが,民法典論争以後,ドイツ法学が主流になっていきました。
哲学
カントという人が唱え始めたドイツ観念論が優勢になります。このように経済学も法学も哲学も直にドイツの考え方が日本にも浸透していきます。
歴史
田口卯吉の「日本開化小史」(文明史)や,あるいは東京大学に史料編纂掛をおいたりします。
ここまでは,外国のお雇い外国人に学んできましたが,ここからは日本人が世界に誇る業績を残していったお話をシていきたいと思います。
自然科学
医学
薬学
高峰譲吉・・・アドレナリンを抽出,タカジアスターゼ(消化促進剤)
秦佐八郎・・・サルバルサン
地震学
大森房吉・・・大森式地震計
天文学
木村栄・・・緯度変化のZ項の発見
地球はちょっと楕円型なのですが,その楕円の軸と実際の地軸にはズレが生じているので,緯度を計測する場合にはそのズレを考慮しなければならないってことを発見したのでした。
物理学
長岡半太郎・・・原子構造の研究
植物学
牧野富太郎・・・植物の分類「雑草という植物はない。すべての植物には名前がある」という名言