日本史オンライン講義録

受験勉強はもちろん、日々の学習にも役立つ日本史のオンライン講義です。 

136 第一次世界大戦と日本

大正時代始まってすぐに第一次世界大戦が起きました。今回は日本にとって第一次大戦にどのように絡んでいったのか?というと,日本はこの第一次大戦によってか勝ち馬にのった形になります。戦勝国の仲間入りをして,これで日本が大きく帝国主義政策を進めていく戦争になったわけですが,日本にとって,この第一次大戦の参戦の根拠になったのは日英同盟が効いていたこともあり,ドイツに宣戦布告をして,ドイツが領有していた中国における根拠地の青島や,赤道以北の南洋諸島を奪いにいきます。

 

さあ,そしてドイツが持っていた勢力圏を奪うのみならず,かつて,中国の東北部辺りは,ロシアの勢力圏でしたし,中国の威海衛や九竜半島はイギリスの勢力圏でしたし,広州湾一体はフランスの勢力圏だったというお話をしました。つまり,ヨーロッパの国々によって中国を取りあっていたのでした。だがしかし,ヨーロッパの国々は第一次対戦で,中国どころじゃなくなったわけですね。中国のことは一旦置いておいて,ヨーロッパで戦争をやってるわけですからね。ヨーロッパは中国のことを全然見てないその隙を狙って,日本は「チャンスは今だ!」ということで中国進出を図っていくわけです。ということで,まず手始めに二十一か条の要求(1915年)という,かなり理不尽な要求を中国の袁世凱政権に突きつけたのでした。二十一か条の要求の内容として,

山東半島にドイツが持っている権益をよこせ!

南満州での権益をよこせ!

といったものでした。このよこせ!っていうのは別に戦争をして勝ち取ったものでもなく,ただひたすら「よこせ!」っていうわけですね。この「よこせ!」と圧力をかけるのは国にとっては屈辱的なことですよね?だってそうじゃないですか?ある国が例えば日本に対して「おい!そこの九州のもうけを全部よこせ!」とか「九州をよこせ!」とか「北海道よこせ!」って言ったところでよこすわけがないわけですよね。ただ,中国は,かなり植民地化が進んでいたこともあり,「よこせ!」と言われて断りきれなかったわけです。そして,中国はとうとう受諾させられることになります。受諾した日は中国の人たちにとっては耐え難いほどの屈辱であったので国恥記念日ともいわれています。

 

そして,中国進出のもう一つの側面として西原借款という言葉があります。これは第一次大戦中に総理大臣になった寺内正毅内閣なのですが,対中国政策の一環で,軍閥段祺瑞という人物にお金を貸し付けたのでした。お金を貸した相手は中国政府ではなく段祺瑞っていう有力者の一人にね。これが何を意味するか?というと,日本はこれから中国を支配したいので,中国を乗っ取るわけですが,ここで早々と日本の味方を作っておいて,あわよくば中国を日本のものにしたときに段祺瑞に日本の操り人形となってもらおうといった目論見のもと,有力者にお金を貸し与えて日本の影響力を少しずつ強めていった,これが西原借款というものです。「おい!おまえ,これから金いるやろ?金貸したろうやないかい!」ってお金を貸して,恩を着せといて,「何!?金かりたのに,返されへんのやったら,ほな土地もらうで!」っていいながら利権をかすめ取るっていうやり方を借款っていいます。西原亀三という人物を通じて段祺瑞政権にお金をかしていくのですが,これは失敗します。というのも途中で段祺瑞が失脚してしまうですね。

 

というわけで,このようにヨーロッパの戦争の混乱に乗じて,あるいは中国では辛亥革命も起こっていましたので,そんあアジアの混乱に乗じて,日本にとってアジアの利権拡大には千載一遇のチャンスでしかないわけですよね。

 

それで,こうした日本の動きが国際的に「わがままだ!」とらえられてしまう可能性も あったわけですね。日本が勝手に中国に進出したと思われそうだったので,ロシアとは第4次日露協約を,アメリカとは石井・ランシング協定を結びます。そしてイギリスとは,「太平洋あるいは中国でドイツが持っていた権益を日本がもらっていいですよね?」と確認をします,まぁイギリスとは元から同盟国ですのでここはスムーズに確認することができました。

 

ロシア革命とシベリア出兵

さて,ロシアはというと連合国側であり,日本側です。しかし,第一次世界大戦末期,ロシアではロシア革命がおこります。ロシア革命とは,革命によって時の政府が倒れて,新しく労働者を中心とした国づくりを始めたという世界初の社会主義による国家が誕生します。革命によって平等な国造りを目指すという社会主義なんですけれども,日本にも社会主義者はいるわけですよね?なにわともあれ,社会主義というのは革命による平等な国づくりなので,もしうちの国で社会主義革命なんかが起きたら大変だ!って周りの国は思うわけです。世界の国々は,このソ連という社会主義国を潰すため,出兵をするわけです。

 

シベリアには油田がある。この混乱の乗じて油田を掠め取ってやれ!ってことで,日本もシベリア出兵を行います。実は,満州がのどから手が出るほど欲しい日本は,この社会主義国であるソ連を潰すための出兵はかなり熱心に推進していったわけですので,たくさんの兵隊さんをシベリアに送り込みます。沢山の兵隊さんをシベリアに送り込むということは,たくさんの兵隊さんが食べるご飯を持っていかなければなりませんよね?そうする大兵隊さんがご飯を食べるためにお米が必要になるだろうってことで,これはお米の値段が上がるぜ!って思った金持ちが米の買占めに走るわけです。そうするとよってさらにお米の値段を釣り上げてね儲けようと思ったわけですね。そうすると,富山のおばあちゃんたちが「お米の値段,高いじゃないの!!」て言って米騒動が起こったのでした。結果,寺内正毅内閣は米騒動が原因で倒れていくわけです。

 

今回は第一次対戦に日本がどのような絡みがあったのか?について話しました。今回はここまでです。