日本史オンライン講義録

受験勉強はもちろん、日々の学習にも役立つ日本史のオンライン講義です。 

135 第一次世界大戦

いよいよ第一次世界大戦が勃発します。第一次世界大戦が始まったときの戦局はいったいどうだったのか見ていくことにしましょう。

 

セルビアの青年が放った銃弾が世界大戦を引き起こす

第一次世界大戦の引き金となったある事件が1914年の6月の出来事でした。オーストリア帝位継承者夫妻フランツ=フェルディナント夫妻が陸軍演習を視察するためにサライェヴォを訪問しました。このサライェヴォというのは,オーストリアが無理やり併合したボスニア・ヘルツェゴビナの中心地でした。このオーストリア帝位継承者夫妻がノコノコとサライェボにやってきたのです。このボスニアにやってきた帝位継承者夫妻を,セルビアの青年が「この憎きオーストリアめ!バルカン半島にノコノコときやがって!」と言いながら狙います。このセルビア青年の放った銃弾が,帝位継承者夫妻を暗殺してしまったのです。オーストリア帝位継承者夫妻は亡くなりました。すると,「おい!セルビアぁぁぁ!これはどういうことだ!!おとなしく犯人を引き渡せ!!」と激怒するのはもちろんオーストリアですよね。そして,さらにオーストリアは「この要求を飲みやがれ!」ということで,セルビアに対して非常に強くプレッシャーをかけます。これに対してセルビアオーストリアに対抗する形をとったため,オーストリアはついにセルビアに対して宣戦布告を行います。「もう許さないぞ!セルビアめ!」と言った感じでしょうか。すると,このセルビアと仲の良かった同じスラブ人国家のロシアセルビアを支援しようと軍隊を送り込みます。「オーストリアを守ろう!」ということでロシアが動いた。そうすると,今度はドイツがそこに参戦します。

 

さぁ,どうですか?三国協商の国と三国同盟の国がズルズルと引きずられた形で登場してきましたよね。このように,ロシアを中心としてイギリスフランスこれを三国協商側の国ということで協商国または連合国といいます。そして,ドイツオーストリア同盟国といわれます。このように,協商国側と同盟国側が動いていよいよ第一次世界大戦が勃発します。

 

短期決戦を望むドイツ

さて,いよいよ第一次世界大戦が始まったのですが,ドイツはちょっと不利でした。なぜ不利だったのか?そして,ドイツは不利な状況の中どのようして戦っていったのかをみていくことにしましょう。

 

まず,ドイツは焦っていました。それもそのはず,世界大戦が始まったドイツは非常に不利な状況に立たされていたからです。その秘密が地理的な位置にあります。さあ,地図をみてみましょう。

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青で書かれた国が協商国です。赤で書かれた国が同盟国です。そして,ドイツの位置をみてください。フランス・ロシアに挟まれた形ですよね。そして,すぐ向かい側にはイギリスがいるので,海からイギリスが攻めてくるかもしれないわけです。ドイツは挟まれてしまったのです。この挟まれた状態でドイツはどう動いたのでしょうか。何しろ,挟まれてしまった以上,戦争を長引かせるわけにはいきません。ドイツは短期決戦を考えたのです。その時,ドイツがとった作戦は「挟まれてしまったのは仕方ない。じゃあ,フランスを全力で倒してしまおう。」ということで,フランスに拳をふりかざします。フランスを倒したら,向きをクルリと反転して今度はロシアに拳を振りかざそうとしたのです。何だかせわしないったらありゃしない作戦ですよね。果たしてこんな作戦がうまくいくのでしょうか,みていきましょう。

 

まずは全力でフランスをたおす西部戦線に挑みます。とにかくドイツはフランスをなんとしてでもすぐに倒したい。フランスを倒すためにはパリを落としたらいい。そのパリを落とすためには,どうやったら近道できるかな?ってドイツは考えたのです。そして,とんでもない方法を思いついたのです。なんと,ドイツ・ベルギー間の中立を侵犯します。これはスゴイことをやっちゃったんです。だってベルギーは当時中立国といって,戦争に巻き込んだら行けないっている国際ルールがあったのです。それが,パリに近道だからってことでドイツはベルギーを通ることによって,パリを攻めようとします。これに対して,中立国ベルギーを攻めたことでイギリスは「おい!ドイツよ,国際ルールを無視してんじゃねぇよ!」と大激怒し,イギリスの対ドイツ宣戦が決定的となりました。そして,フランスとはマルヌの戦いでついに衝突します。まずは全力でフランスを倒そう!!と思ったのに,ドイツはなんと負けちゃいます。あれ?って感じですよね。

 

一方,ロシアとの戦いはどうだったのでしょうか?ロシアとの戦いのことを東部戦線というのですが,この東部戦線ではドイツとロシアはタンネンベルクの戦いで激突します。ちなみにこれは時期に気をつけてください。タンネンベルクの戦いは実はマルヌの戦いよりも先におこったのです。整理しましょう。まずドイツは全力でフランスを倒そうとしたあとに,ロシアと戦うっていうのがドイツの思惑でした。しかし,実際はドイツがフランスに向かっている最中に,背後からロシアが追っかけてきたのです。そこで,ドイツはまずタンネンベルクでロシアを迎え撃つわけなんですね。結果,なんとドイツが勝利してロシアを破ります。「なん〜だ!ロシアって案外弱いんだなぁ。もしかしたら,このままフランスにも勝てるかも知れないぞ!」ってことで,フランスをつぶしにいく前にロシアへと侵攻していくのです。ロシアを倒せるぞ!って思ったんですが,その先でドイツが敗れます。結局,このあとマルヌの戦いでフランスに敗れ,ロシアにも敗れ,第一次世界大戦はいきなり膠着状態へと入ってしまったのでした。まさかの長期戦にもつれ込みます。さらに,海上からはイギリスが攻めてきます。

 

イギリスの軍艦に負けないように追いつけ!ドイツも軍艦を作るぞ!と意気込んでいたのですが,やっぱりイギリスの方が強かった。そこでドイツはとんでもない攻撃方法を思いつきます。海の上で勝てないのなら,海の中に潜っちゃえってことで,なんとも卑怯な潜水艦を作り出したのです。そして,その潜水艦からみたときにイギリス国旗が掲げてある船をみつけました。「よし!敵国イギリスの軍艦だ!撃てぇぇぇぇ!!!ドォォ――――ん!!!」ルシタニア号が撃沈されました。このルシタニア号,なんと軍艦ではなく一般人が乗船している船を攻撃してしまったのです。しかも,不運なことに多くのアメリカ人が乗っていたのです。これはアメリカの国民も大激怒しました。「どうして我々アメリカ国民がヨーロッパの戦争に巻き込まれなくちゃならないんだ!」

 

こうして,ドイツを取り巻く情勢はどんどん不利になっていき,第一次世界大戦はいきなり膠着状態になりズルズルと長引いていったのでした。